Journal

旅日誌 #7:ワイヘキ島で「ワイタンギデー」を体験する

ワイタンギデーイベントでのダンスパフォーマンス

2019年2月6日

「2月6日の水曜日にマラエでワイタンギデーのイベントがあるよ。」

ちょうど数日前にれんちゃん(イタリア人の家主)からそう教えてもらいました。

マラエ(Marae)は、マオリ族(ニュージーランド先住民)の伝統的な建物です。そこで ワイタンギデー(Waitangi Day)のイベントが朝の9時30分から開催される、ということでした。

ワイタンギデーとワイタンギ条約

ワイタンギデーは、1840年2月6日にイギリスとマオリ族の間で交わされた「ワイタンギ条約(Treaty of Waitangi)」を記念するニュージーランドの祝日です。僕もニュージーランドに来るまでは全く知りませんでした。

この背景をざっくり説明してみたいと思います。

ちょっと長いですが、歴史の勉強だと思ってお付き合い下さい。

マオリ族は、1320年頃からニュージーランドに暮らす先住民です。一方のヨーロッパ人は、17世紀にニュージーランドを発見しました。

寛容なマオリ族は、当初、ヨーロッパ人をある程度受け入れていたようですが、ヨーロッパ人の入植が進むにつれて両者間の武力衝突が多くなりました。その争いを鎮める目的で交わされたのがワイタンギ条約です。両者合意のもと、英語とマオリ語を併記する形で作られました。

とまぁ、ここまでだとハッピーエンドのように聞こえますが、ここで話は終わりません。実は、マオリ語の翻訳に問題があって、マオリ族は内容を誤解したまま条約にサインしてしまったんです。

その結果、マオリ族はイギリスにニュージランドの土地の権利を奪われてしまいました。それ以後対立が続きましたが、条約での取り決めが変わることはなく、そして100年以上の時が経ちます…。

1960年頃から徐々にマオリの人権を主張する動きが始まり、その抗議の声が強くなるのを受けて、1975年にようやく条約が再審議されます。その結果、一部の土地がマオリ族に返されたり、マオリ語が公用語なることが決まったりして、一応この問題は「決着」したことになりました。(まだ色々と議論があったりするみたいですが。)

それ以来、毎年2月6日はワイタンギデー(祝日)として、ワイタンギ条約の歴史を思い出し、リーダー、コミュニティ、個人のそれぞれが進むべき方向を考える日になっています。

なかなかホロ苦い歴史だったんですね。

ワイヘキ島のワイタンギデー

ワイヘキ島では、Blackpool エリアにある Piritahi Marae でワイタンギデーの記念イベントがおこなわれました。れんちゃんによると、朝の9時30分から午後までやっているとのこと。

ニュージーランドは「ワイタンギデー」として祝日ですが、水曜日なので日本ではもちろん平日扱いです。僕たちのクライアントは日本の会社がほとんどなので、普段は朝から働かないといけませんが、せっかくの機会なので午前中だけでもイベントに参加してみることにしました。

9時15分頃に Piritahi Marae に到着すると、すでに人だかりができていました。タイムスケジュールを見ると、9時30分から15時まで色々な催し事がおこなわれるようです。

ワイタンギデーのタイムスケジュール

ワイタンギデーのタイムスケジュール

イベントの開会としてまず初めにやられることは「Powhiri」という伝統的な挨拶です。9時30分にマオリ族の方から説明があった後、一向(ヨーロッパ人の体?)は中央の広場まで移動します。そこでマオリ族と向き合い、マオリ語での挨拶や伝統的なやり取り、そして各代表からのスピーチがおこなわれました。(全部で1時間弱はかかったと思います。)

Powhiri 前のマオリ族の人からの説明

Powhiri 前のマオリ族の人からの説明

マオリ族と向かい合って挨拶をする

マオリ族と向かい合って挨拶をする

その後は、みんなでお茶やコーヒーを飲み(有料)、しばらくすると中央の広場で音楽や踊りが披露され始めました。僕たちはそれらの催し事を観たり、マラエ(伝統的な建物)の中を見物したりして楽しみました。

ハンギを食す

このイベントの目玉は、マオリ族の伝統料理「ハンギ(Hāngi)」です。ハンギは、穴を掘った地面に熱々の石を敷き詰め、そこでを肉や野菜を蒸し焼きにする料理です。いわば「自然のオーブン料理」ですね。

準備できる数に限りがあるので(と言ってもそこまで少なくありませんが)、中央広場で10時30分から販売されるチケット(1人10ドル)を購入します。そして12時15分頃から、そのチケットと引き換えにハンギが配られました。ベジタリアン・オプションもありましたが、せっかくなので普通の(伝統的な)方を選びました。

マオリ族の伝統料理「ハンギ」

マオリ族の伝統料理「ハンギ」

中を開けてみると、見た目はシンプルな蒸し焼きで、具材はチキン、かぼちゃ、さつまいも、じゃがいも、穀物っぽいもの(不明)などが使われていました。それと一緒に揚げパンみたいなのも付いてきたのでボリュームは満点です。

味付けもいたってシンプルで(というか、味付けなし?)、ほとんど素材の味しかしませんでした。個人的には結構気に入って美味しくいただきましたが、もう少し塩っ気があったらなお良かったです。中々の熱さだったので素手で食べるのは大変でした(笑)。

ハンギを食べた後もまだまだイベントは続いていましたが、僕たちは仕事があるので家路に着きました。ニュージーランド滞在中にワイタンギデーを体験することができて、とても良かったです。気分もお腹も大満足でした。

You Might Also Like

No Comments

    Leave a Reply